視覚障害者情報提供施設がお送りする読書会『よむ・きく・はなす Vol.6』開催レポート 見えない人も、見える人も一緒に。 1冊の本をきっかけに創る出会いの場として、だれもが住みよい世の中になりますように。 そんな思いで開催している読書会です。 見えない人も、見える人も一緒に。 今回は板垣千佳子編「ラドゥ・ルプーは語らない。沈黙のピアニストをたどる20の素描(デッサン)」(アルテスパブリッシング刊)について、よむ・きく・はなすしました。 タイトル通り、ラドゥ・ルプー自身は本書では語りません。彼と親交のあった20人の音楽家や関係者などの寄稿・インタビューが編纂され、そこから彼の素顔が見えてくる…という内容です。 ラドゥ・ルプーのピアノ音楽をBGMに、当事者5名・晴眼者7名の12名、2つのグループに分かれて、ラドゥ・ルプーの音楽や人について語ります。 そして、なんと・・・! 当日は編者の板垣千佳子氏がお越しくださいました・・・!! 板垣氏がそれぞれのテーブルに順につくと、たくさんの質問が飛び交いました。 インタビューの人選はどのようにしたのか。本人から本の出版について感想があったのか。来日が途絶えたのはなぜか、などなど。板垣氏はすべての質問に丁寧に答え、裏話も聞けたりと、より深く課題本を味わう機会となりました。 ラドゥ・ルプーの人について 巻頭の写真から「猫の写真が多いので好きな人なのかな」。「ユーモアがあって完璧主義な方なのかな」という感想や、髭の話も出たり。 「音楽観について考えさせられた」「本を読んでからクラシックを聴いて音楽の違いが解ったような気がした」という感想や「その場の天気や雰囲気などで変わってくるので、録音では味わえない音があると知った」というお話が交わされました。 その他にも 「見えていたときと現在では、音楽の聞こえかたが違う。目からの情報が多く脳がすごく忙しかったが、耳が急に良くなったのではなく、見えなくなったことで脳に余裕が出来て、聴覚、触覚などが良くなったと感じている」という意見も。 最後に板垣氏より、本を出版するに至った経緯や板垣氏自身の過去について、ラドゥ・ルプーとの思い出話をしていただき、会は終了時刻を迎えました。 今回の読書会では、いろんな出会いがあったかと思います。 当事者、晴眼者、本、音楽、板垣千佳子氏、ラドゥ・ルプー――。 きっと、ここに挙げた出会い以外にも、もっと多くの出会いが生まれたのではないでしょうか。 ラドゥ・ルプーは昨年4月、76歳で人生の幕を下ろしました。 今日この場にご参加いただいた皆さま、私たち運営側、きっと全員が思っていたこと。 「ルプーさんの生演奏、聞きたかったなぁ」 次回、「よむ・きく・はなすVOL.7」 2023年9月24日(日)10:00〜12:00、名古屋ライトハウス情報文化センター集会室にて開催します。 課題作は『オルガンのあった場所』より表題作。 シン・ギョンスク(申京淑) 著, きむ ふな 翻訳(CUON刊)。 開催が近くなりましたら、名古屋ライトハウス情報文化センターHPやフライヤー、SNSなどで発信してまいります。皆様のご参加を心よりお待ちしております。 SPECIAL THANKS to 板垣千佳子、アルテスパブリッシング、on reading、読書喫茶リチル、港まちづくり協議会ポットラックビル、TOUTEN BOOKSTORE、喫茶アミーゴ、鶴舞K・D Japon、ちくさ正文館書店、アートラボあいち、喫茶モノコト、ギャラリーカフェ、シマウマ書房、名身連福祉センター、なごや福祉用具プラザ、犬山市立図書館、小牧市中央図書館、愛知大学、愛知県図書館、名古屋市立図書館 21施設、名古屋盲学校、岡崎盲学校、名古屋市社協16区、ガイドネットなごや、総合リハビリテーションセンター視覚支援課、名古屋市 (敬称略・順不当) 広報など大変お世話になりました。 心より感謝申し上げます。